トライボロジー講座

 トライボロジーとは、1966年に生まれた言葉で、語源はギリシャ語のTRIBO(こする)です。JOST博士が英国の教育・科学省の報告書で、”Lubrication(Tribology)”というタイトルを用いたのが始まりです。その後、日本では日本潤滑学会が日本トライボロジー学会と改称し、大学ではトライボロジーという授業が始まり、通商産業省工業技術院機械技術研究所ではトライボロジー課が誕生しました。JOST博士の報告書では、トライボロジーは「相対運動を行い相互作用する表面,及びそれに関連する実際問題に関する科学と技術」と定義されています。日本トライボロジー学会のHPでは、具体例として潤滑、摩擦、摩耗、焼付き、軸受設計が挙げられてます。トライボロジーが対象とする現象は幅広く、それを理解したり調べたりする科学分野、技術分野は多岐に渡ります。
 トライボロジー講座では、トライボロジーの基礎を知りたい人を対象として、トライボロジーを理解したり役立てたりしていく上で役に立ちそうなトピックスを紹介していきます。(不定期更新です)

クーロンの摩擦法則

摩擦力がなぜ荷重に比例するのかについて、物の表面には粗さがあることを前提としたときに、真実接触面積が荷重に比例するという考え方を元に説明します。このとき、表面が汚れていても、きれいであっても、摩擦力と荷重の比例関係は維持されます。また、真実接触面積の大きさがどの程度になるのか考察しています。

摩擦係数を低くする基本的な考え方

材料の硬さが大きく異なっていれば、「クーロンの摩擦法則」で説明した真実接触面積も大きく異なります。しかし硬さの差が100以上でも、摩擦係数の差は2〜3倍程度です。これについて、単位面積当たりのせん断抵抗を考え、それを元に摩擦を低くするための基本的な考え方を紹介します。この考えは、直接的には固体潤滑に適用され、分子膜に境界潤滑や流体潤滑にも展開できます。

マイクロトライボロジー

荷重が小さくなると、表面同士が引き合う力が無視出来なくなり、低荷重で見かけ上摩擦係数が増加することがあります。この表面同士が引き合う力を凝着力と呼び、その力の元になるのは、ファンデルワールス力や凝縮している水の表面張力あるいは、表面張力に起因するラプラス圧力です。

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